ウサギの病気

目 次

ウサギの健康状態を見る

ウサギは体調が悪くてもそれを表に出さず、逆に隠す動物です。したがって、飼主様が病気に気づいた時には重症化している事が多いので普段からウサギを観察し、食欲が落ちたり、便の形がおかしかったり、尿の色が変わっていたら動物病院に来院してください。その時、便・尿を持ってきてもらうと診断できる病気もあります。

飼主様によるウサギの健康チェック

01.食欲の有無
ウサギは常に何かを食べている動物です。それにも関わらず、食欲が低下していたら,何らかの重症疾患の前兆の可能性が高いです。また,食欲低下が長く続くと、場合によっては生死に関わる事があります。[胃内毛球症、臼歯過長症、子宮腺癌、腎不全など]

02.便の状態
●正常便 … 硬く、丸く、大きく、形が揃っています。普段から正常便を飼主様が把握しておきましょう。
●小さい … 食欲低下で食べている量が減っています。[食欲低下は何らかの重症疾患の前兆の可能性があります]
●柔らかい … 線維質の不足、腸内寄生虫などが原因です。
●便に毛が絡まっている … 胃内毛球症の前兆です。

03.尿の色調
食べ物の種類や水分量で変化します。普段から正常尿を飼主様が把握しておきましょう。
●正常尿 … 黄色~茶褐色で白濁(不透明)な尿です。
●赤色尿 … 病的血尿または食事中の色素による正常赤色尿(ニンジン,ブロッコリーなど)で,尿検査で鑑別可能です。[病的血尿には膀胱炎、膀胱結石、子宮疾患などがあります]
●尿の白濁度が普段より濃い(その状態が長期に継続) … 食事中のCa含量が高い、又は脱水など、いずれにしても膀胱結石の原因になります。
●透明尿 … 尿量の異常増加や食欲低下が原因です。
※その他、普段と違う症状があったら、早めに動物病院に御相談ください。また,病気の早期発見のために定期的な健康診断をしましょう。[体重測定、栄養状態の評価、口腔内・耳道内の確認、聴診、触診等を行います]

当院に来院するウサギの主な病気

胃内毛球症 … 胃の中に多量の毛がたまり、食欲が低下し、次第に衰弱していきます。
[ 原因 ]
・体をグルーミングにより胃内で毛球が形成
・消化しにくい化学繊維(壁紙など)の誤食
・低線維食・疼痛による胃腸運動の低下
・嘔吐することができないウサギの特性
毛球の画像胃内より摘出した毛球

臼歯過長症 … 臼歯(奥歯)の咬み合わせが悪くなるために舌や頬の内側を傷つけ、食欲低下、よだれ、歯ぎしりをします。
[ 原因 ]
・歯は一生伸び続ける特性
・歯が摩耗できない食事(パン、米、お菓子、不適切なウサギペレット)
上臼歯が外側に伸びる下臼歯が内側に伸びる臼歯過長症の整復後

膀胱結石 … 膀胱内にカルシウムの結石が作られ、血尿・頻尿症状を呈します。
[ 原因 ]
・ウサギ特有なカルシウム代謝(ウサギは尿中に多量のカルシウムを排泄します)
・カルシウム含有量の多い食事(アルファルファーなど)
膀胱結石のX線フィルム手術にて摘出した結石

斜頸 … 平衡感覚に関連する、前庭と呼ばれる部分に障害が起こったために起こります。その他の症状として、眼振、起立不能があります。
[ 原因 ]
・細菌感染、寄生虫感染、腫瘍、その他の炎症により起こります。
左に首が傾き起立不能治療4日後の状態治療10日後の状態

雌の子宮腺癌 … 3歳以上の雌で多発し、血尿、呼吸促迫(肺転移)、腹部膨満などを呈します。
[ 備考 ]
・年齢が進むにつれて、腺癌以外にも様々な子宮の病気が増えます(子宮内膜過形成,子宮蓄膿症など)
・2歳までに避妊手術をしましょう。。

雄の問題行動 … 自分の縄張りを守ろうという本能から尿スプレー、攻撃性が起こります。
[ 備考 ]
・「子孫を残す」という本能を常にかかえるので、持続的な緊張とストレスが継続します。6カ月齢を過ぎたら去勢手術をしましょう。

正しい飼育方法

正しい飼育法(食事,温度管理など)で予防できる病気や事故が多数あります。またこれまでに言われてきた、飼育方法(特に食事)に大きな間違いがあったり、飼主様が健康と思っていても実際に診察すると栄養不良だったり、何らかの病気にかかっているということがよくあります。健康診断や飼育法などの御相談に御来院ください。

※来院時に食事・おやつ等、また実際に使用しているケージも可能であれば持ってきてください。