子犬の成長記録[続編]
赤ちゃんから子犬になったミニチュアダックス「ななちゃん」。ペットショップやブリーダーさんから飼い主の方のもとへ来るワンちゃんですが、この時期から子育てを経験する方も多い事と思います。日常の注意点や「しつけ」などに関して獣医師のコメントを添え、続編として子犬時期から成犬になるまでを月2回のペースでリポートします。
3.5ヶ月目:公園で初対面の挨拶
散歩に行くようになり、「なな」は毎日たくさんのワンちゃんに会います。今日は公園でのスナップをご紹介します。大型犬から小型犬まで色々な犬種のワンちゃん達が集まっている中へ入る「なな」。どうやらこの中では一番の最年少のようです。「あのー・・」「はじめまして! ミニチュアダックスのななでーす・・って、誰か聞いてよ~」なーんて感じだったのか最初はウロウロ。犬同士近づいて行くその光景は「よろしく・・・」と挨拶をしているかのようです。たくさんのお友達が出来ると良いですね。
梅の花から桜の花へお散歩には最高の季節ですね。楽しいお散歩のために次のような事に注意しましょう。
- 1.持ち物確認
- ・うんち袋:必ず持ち帰りましょう。
- ・ペットボトルに入れた水:飲水用・いけない所におしっこをした場合さっと流しましょう。
- ・ご褒美用のおやつ:すぐ出せるように。
- 2.拾い食い
- クンクン嗅いでパク!時には危険なものもあります 例えば…
- ・畑の道では農薬がついているかも・・
- ・お花見の季節ではおいしい焼き鳥が串のまま・・。
- ・犬猫の排泄物など・・。
- 病気になることもあるので注意しましょう。
- [対処法] リードを短く持ち、クンクンしたらリードを引いてください(クンクンするのは安全な場所だけ)。
- 3.他のワンちゃんとのご挨拶
- 特に大きなワンちゃんにはオーナーさんに声をかけて確認してから挨拶を!
- 4.お散歩の時間
- お散歩の時間は決めないように!決めてしまうとその時間になると散歩に行きたくて鳴くようになってしまいます。基本的に「人のお散歩に犬が付き合う」ものにする事を心がけましょう。また、暑い季節のお散歩は涼しい時間帯にしましょう。
- 5.ごはんはお散歩の後に
- 食後の運動は胃捻転を起こすことがあるのでご飯はお散歩後にしてください(特に大型犬)。
4ヶ月目:初めてのトリミング
今日は「ななちゃん」のトリミング初体験の日。「ななちゃん」はミニチュアダックスでもそれほど長毛ではなく、小型犬のためお手入れも比較的に短時間にできます。トリミングの最中、普段聞きなれない電動バリカンの音に戸惑い、大型のドライヤーの「ブワ~ッ」という音にちょっとビックリして台の上から逃げ出しそうになる場面もありましたが、シャンプー&シャワーの時は気持ちよさそうにおとなしくシャンプーされていました。今回は日頃のお手入れ・ケアについて先生からコメントをいただきましたので参考にしてください。
トリミングはカットやシャンプーするだけではなく、皮膚や体のケアをする意味でも大切です。
- 1.爪きり
- ・親指は地面につかないため爪が伸びています
- 2.パット(肉球)
- ・すべり止めとして重要です。パットが毛で覆われているとすべり止めとしての役目ができず、足を痛めたりする場合があります
- 3.耳のケア
- ・犬種(プードルやシュナウザー等)によっては耳内に多くの毛があることがあります。そのままにしているとムレたり汚れがたまったりして外耳炎の原因となるため、毛は抜いておく必要があります
- 4.肛門腺のケア
- ・肛門腺がたまると肛門をなめたり地面にこすりつけたりするようになります
- 5.皮膚の確認
- ・異常がある場合には皮膚の状態にあったシャンプー剤が必要です
4.5ヶ月目:狂犬病の予防接種
4月は狂犬病のワクチン接種。「ななちゃん」にとって3回目の注射になります。鳴くことも無く、じっとおとなしく注射を済ませました。毛質のせいもあるのか、以前のポッチャリした体が大分スマートになった様に感じます。また、お顔もほっそりしてきてミニチュアダックスらしくなりました。成長が著しい生後90日までとは異なり、15日間隔の取材では体の変化はそれほどでもなくなりました。相変わらずヤンチャな性格の「ななちゃん」ですが、もう「お座り」「待て」はマスターし、現在「伏せ」を練習中です。
すでに保健所に登録されているワンちゃんたちは、近所の公園での集合注射や動物病院で接種されていることとおもいますが、子犬の場合は注射を受けて初めて保健所に登録されます。狂犬病は、日本では数十年その発生はありませんが生後91日以上のワンちゃんが接種するよう義務付けられています。それは海外では、未だに狂犬病という病気が存在しているからです。「もし、日本に入ってきたら…」。大切なワンちゃんを守るための注射です。※ジステンパーの混合接種を受けているワンちゃんは1ヶ月間あけてから接種しましょう。
5ヶ月目:歯が抜けました!
今回は「歯」特集!ある日、床になにやら白いものが…「おぉ、歯だ!」。「ななちゃん」の口の中をのぞいて見れば新しい歯が生え始めてきているではありませんか。生後25日目に乳歯が生えてきてから4ヶ月が経った今、永久歯にかわります。右の1枚は母犬の「ももちゃん」の歯です。子犬~成犬になるまでに全部の歯が生えかわります。せっかく見つけた歯なので記念にパシャリ!ご飯と一緒に食べてしまうこともあるそうです。
5~6ヶ月令までには、28本の乳歯は前歯から順に42本の永久歯へと生え変わります。この時期は歯が気になり、噛む行動が目立ってきます。
- 1.噛む行動
- ・手足などへの「あまがみ」など、噛んではいけないものと、遊具等の噛んでも良いものとの区別をしっかり教えましょう。
- ・大切なものは片付けてしまった方が良いでしょう。家具などは嫌いな臭いをつけるなどの工夫も必要です。
- 2.歯のケア
- ・永久歯は年齢と共に歯石がつき歯肉炎をおこします。今から歯のケアを始めましょう。特に犬歯や奥歯の歯と歯肉との境部を歯ブラシやタオルなどを使ってみがきます。是非毎日の習慣にしてください。
5.5ヶ月目:子犬のしつけ教室に参加
今月から「ななちゃん」はしつけ教室にはいりました。参加しているペットオーナーの方々は子犬の「むだ吠え」や「あまがみ」など、子犬時期のペットとの接し方・しつけ方について、トレーナーの先生の話を真剣に耳をかたむけていました。わたしも「なるほどぉ~」と仕事の事を忘れ、トレーナーの話を聞いてしまうのでした。そんな中、彼女は…他の子犬にチョッカイをだし、追いかけっこ!ま、またか…。同世代の子犬達が集まると遊びたくてしょうがない様子です。その光景に思わず「クスクス」と微笑んでしまうのでした。
ななちゃんも5ヶ月齢になり、いろいろな悪いことも覚えてきました。例えば、知らない人や犬に出会うと立ち止まり「ワンワン」吠え。玄関のチャイムの「ピンポーン」の音にも「ワンワン」吠えます。ミニチュアダックスは吠える子が多いですね。そこでこれ以上、してはいけないことを覚える前に、しつけ教室に参加しました。第一回目は「オリエンテーション・しつけとは?」。実技を交えながらのお話で、社会に出れるワンちゃんにすることが目的です。一番大切なことは名前を覚えること。“ナナ!”呼びかけにアイコンタクトができたらご褒美、名前を呼ばれたら良いことがあると印象付けることです。そして、毎日体をタオルで拭くこと、体のどこでもさわれる練習です。しつけ教室は2週間に1回となりますが、次回まで毎日5分間 頑張ります。目標はドッグカフェデビューです!
- ご褒美をあたえるタイミング
- ご褒美は2秒以内に与えることを心がけてください。犬はそれ以上時間が経つと良いことも悪いことも忘れてしまいます。ご褒美はいつでもポケットやポーチなど、すぐ取り出せる場所に用意しておきましょう。
6ヶ月目:フィラリア予防開始~子犬のしつけ教室 2回目
久しぶりの屋外での取材です。「ななちゃん」のしつけ教室も2回目、今日は左側について歩く訓練です。前回の訓練以降、毎日のマメなトレーニングのおかげか、ちゃんと左側にそって歩いていました。どんな場所でも怖がらない好奇心旺盛な「ななちゃん」ですが、これからのシーズン、お散歩の途中で付着してしまうダニなどの害虫、そして蚊によって感染するフィラリア予防等、害虫対策が必要になります。
「ななちゃん」は今月からフィラリア予防を開始、今はお肉タイプのお薬もあり、喜んで食べています。フィラリア症とは蚊にさされる事で感染し、心臓にフィラリアが寄生してしまう病気です。症状は、咳をする、腹水がたまる、などの慢性的な全身症状と、フィラリアにより血液が壊され(ワイン色の尿をします)死に至る急性のものとがあります。大切な事は予防。多くは1ヶ月に一度の飲み薬で予防します。※期間は地域によっても異なりますが5月~12月。
- 子犬のしつけ教室 2回目:
- 今回は左側について歩く練習です。歩く際には犬が飼主さんに注目するよう工夫しながら(名前を呼びながら、ご褒美を見せながら)歩きます。お散歩中、色々な体験が出来るようコースを変えてお散歩しましょう。毎日5分の練習が大切です!
6.5ヶ月目:梅雨時期のケア~子犬のしつけ教室 3回目
わずか3回のトレーニングで(もちろん毎日の積み重ねがあるからなのですが…)本当に見ちがえるほどになった「ななちゃん」。写真の様に「飼主さんが止まれば、ななちゃんも止まってお座り」なんてことがいつの間にか出来るようになっているのには驚きです!3番目の写真は「ななちゃん」(手前)と母犬の「モモちゃん」(奥)です。こうやって並べてみると、もう子犬というより成犬ですね。性格や雰囲気は見る限りではそっくりのミニチュアダックスフントの親子です。子犬&飼主さんのしつけ教室への参加者が徐々に増えてきました。トレーニングの際、参加の飼主さんと子犬たちは皆、とても真剣です。
この時期に多い病気:うっとおしい梅雨の季節です。湿度が高くむし暑いこの時期は皮膚や、おなかの弱い子には要注意です。皮膚の弱い子はお部屋の湿気を取り雨でぬれた時はしっかり被毛を乾かすように心がけてください。また、お腹の弱い子は気温の変化によるお腹のストレスですぐにお腹が「ゴロゴロ…」。危ないなと思う日は消化の良い食事を与えてください。
- 子犬のしつけ教室 3回目:
- 今回は左について右回り、左回りの歩くトレーニングです。途中で“ナナ”の呼びかけにご褒美を見せながらアイコンタクトとおすわり。だいぶサマになってきました。毎日の練習あるのみです。このトレーニングは飼主さんとワンちゃんとの信頼関係を築く大切な時間です。頑張れナナ!
7ヶ月目:ノミやダニに注意!~子犬のしつけ教室 4回目
7ヶ月…最近の「ななちゃん」、以前より無駄吠えも少なくなり落ち着きをもってきました。前回の写真もそうですが「お座り」の際には一緒に隣にいるオーナーの顔をじっと見つめ、次の指示を待っています。「伏せ」もしたまま待てるようになってきました。トレーニングを終えてもピョンピョン跳ね回る元気が有り余った子犬の「ななちゃん」。この調子で行けば念願のドッグカフェのデビューももうすぐかもしれません!
- ノミ・ダニのお話:
- 梅雨の合間の久しぶりのお日様はすごい湿度と真夏の暑さを連れてきます。すると大発生するのがノミやダニ。「なな家」の近くにはビジネスパークと呼ばれる素敵なオフィス街があり、周囲は公園です。そんな素敵なところにもノミやダニがいるのにびっくりです。ノミには皮膚炎だけでなく条虫(さなだ虫)の感染源となっています。そして人も刺すので要注意です。刺されると2~3ヶ月はかゆみが続きます。ダニは1mm程度の小さな状態で体につき、頭を動物の皮膚に突っ込みます。その後血液を吸って10倍程度の1cmほどの大きさになります。顔のまわりに付きやすく、気づいた時はビックリ仰天です。特に草むらに入り込んだ時などは、お散歩から帰ったらまめにブラッシングしてあげましょう。ノミやダニの多い地域の場合は獣医さんに相談しましょう。
- 子犬のしつけ教室 4回目:
- 毎回、トレーニングの最初に公園の中にある障害物を利用して狭い場所(ワンちゃんの多くは最初、狭い通路には入りたがりません)やベンチ・パイロンの間を飼主さんの横について歩きます。その際にワンちゃんが飼主さんより前に離れて歩いている場合は飼主さんのことは意識していない状態なので横につけて歩くようにします。また、狭い通路などは飼主さんが先を行くように心がけてください。
7.5ヶ月目:ワンちゃん達の苦手な季節~子犬のしつけ教室 5回目
今の時期、晴れた日には気温も高くなります。私たちは靴を履いているので感じませんが、日中の散歩は素足のワンちゃんにはたまりません。(ちょうど真夏のやけた砂浜の上を素足で歩くような感じでしょうか…)夏の時期のお散歩は注意が必要です。さて今回は「ななちゃん」の訓練の成果?を4コマでご紹介します“おすわり”“ふせ”“まて”“よし”と、一連の動作をちゃんとできるようになっています。撮影は何度も繰り返したのではなく、2度ですんなりOKでした。これも日々の積み重ねですね!8ヶ月続いたミニチュアダックス「ななちゃん」の成長記録も次回で最終回。はたしてドッグカフェでの取材となるでしょうか!?こうご期待!
- 熱中症のお話:
- もうすぐ梅雨も明け夏になります。ワンちゃん達のもっとも苦手な季節です。最近の夏の猛暑は人でさえもたまらない猛暑となる日が多いですね。そして恐ろしいのは熱中症!日中の外出はもちろん禁物です。熱くなったアスファルトでの火傷や、ちょっとのつもりの車内のお留守番が大変な事態になります。もし、体が熱く呼吸があらく意識がもうろうとしてきたら、体を冷やして病院へ連れて行きましょう。室内のお留守番でもエアコンは忘れないように!長毛のワンちゃんはサマーカットをおすすめします。しかし、ベリーショートにすると日焼けをするのでTシャツなどを着せましょう。これは超短毛の犬種も同様です。
- 子犬のしつけ教室 5回目:
- しつけ教室も5回目、「おすわり」もだいぶ上達してきました。ついつい「おすわり!」「ふせ!」と声を張り上げてしまいますが、言葉を理解するのは難しいため、まずは手のサインから始めます。サインは飼主さんのやり易い方法でOKです。「ななちゃん」は手を上げると“おすわり”[写真1]。ゆっくり地面と平行に手を広げ下に降ろすと“ふせ”[写真2]。ご褒美を置いてワンちゃんに向かって手を広げ“まて”[写真3]。少し待たせた後、「よし」の号令でご褒美をもらえます[写真4]。「ななちゃん」とっても上手なったでしょう!
8ヶ月目:ドックカフェ デビュー!
7月某日、「ななちゃん」、母犬の「ももちゃん」、ラブラドールレトリバーの「トトロ」を連れて横浜みなとみらいにきました。散歩中、お座りもちゃんとでき、「ふせ」をして待ってもいられるようになり、知らない人が近くに来ても無駄吠えもほとんど無くなっていました。以前の吠える「ななちゃん」(母犬の「ももちゃん」もそうでしたが…)がウソのようです。レンガ倉庫~大桟橋を散歩中に何やら大きな船が来るではありませんか?!ご存知、豪華客船の「アスカ」が偶然にも寄港したのでした(^-^)/~ (でも、始めてみた私…最終回にふさわしい!)。そして、いよいよこの日の目的であるドッグカフェ体験!他の席にいるワンちゃんに1度、あいさつ程度!?に吠えましたが、おとなしくしているではありませんか\(^O^)/お~っ!ドッグカフェはなんとか大丈夫のよう…しつけの当初からの目標を達成です。
- 去勢手術のお話:
- 「ななちゃん」もそろそろ初めての発情がきます。将来、赤ちゃんをとる予定の無い場合は去勢手術・避妊手術をおすすめします。年をとったシニア期にかかりやすい病気の予防になります。男の子なら「前立腺肥大」や「会陰ヘルニア」など、女の子では「乳腺腫瘍」や、子宮に膿がたまる「子宮蓄膿症」などです。また、万が一の間違いの起こらないように…
- ドッグカフェにチャレンジ!:
- 日頃の成果をみるために横浜みなとみらいにあるドッグカフェに行きました。人がお茶をしている間、足元でおとなしく待つ事が出来れば合格。「ななちゃん」はお友達を見かけるとちょっとだけワンワンしていましたが初めてにしてはまずまず!母犬「もも」とラブラドールレトリバーの「トトロ」も一緒の楽しいひと時でした。躾(しつけ)は人と生活を絆にしていくためのルールを学ぶものです。一生続くといってもオーバーではありません。「ななちゃん」は始まったばかりです。
長い間「ななちゃん」にお付き合い頂きありがとうございました。皆様と愛犬との楽しい生活の参考にしていただけたでしょうか。これからも愛犬と素敵な楽しい時間を過せますように!